GA4コミュニティで頂いたご質問: 探索レポートのセグメントで「シーケンス」を活用したい(2022年9月22日 修正版)

セグメント(セグメント ビルダー)

弊社が運用するGA4無料コミュニティ(ハンドルネームで参加できる無料コミュニティ。ご登録はこちらから。https://discord.gg/H48gPszEuP。9月22日現在、368人が登録。)に頂いたご質問に、こちらでご回答させていただきます。

【質問1】 探索レポートで「シーケンス」を使用した場合、 シーケンスに合致するユーザー数、セッション数、表示回数を出す際の理解が合っているかをお伺いしたいです。

コミュニティの書き込みより引用

「シーケンス」は「セッション セグメント」では作成することができませんので(2022年9月22日現在)、「ユーザー セグメント」で作成することになります。「ユーザー セグメント」とはどのようなものなのかをここで見ておきましょう。

作成できるセグメントのタイプ
ユーザー セグメント
ユーザー セグメントは、サイトやアプリになんらかの形で関わったユーザーのサブセットで、商品を購入したことがあるユーザーや、ショッピング カートに商品を追加したものの、購入はしていないユーザーなどが該当します。

https://support.google.com/analytics/answer/9304353?hl=ja#zippy=%2C%E3%81%93%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E5%86%85%E5%AE%B9

https://ga4-quick.and-aaa.com/archives/1001

たとえば、上記の図の1行目「ページC」が「価格表」だったとします。「ページB⇒ページC(仮に価格表)」と進んだユーザーが、他にどんなコンテンツを見ていたか知りたい場合は、「ユーザー セグメント」を使います。

上記をご覧になると、「セッション数」は2ですが、「ページB⇒ページC(仮に価格表)」と進んだセッションは1で、もう1つのセッションは、「ページB⇒ページC(仮に価格表)」と進んだセッションではありません。「ページB⇒ページC(仮に価格表)」と進んだ「Aさん」というユーザーの集計期間内の別のセッション(「ページB⇒ページC(仮に価格表)」とは進んでいないセッション)も計測対象範囲内に入るのが、「ユーザー セグメント」です。

これは、電車の乗車に例えると分かりやすいかも知れません。

<Aさん>
9月1日:東京⇒品川 間 乗車
9月3日:新宿⇒高尾 間 乗車

上記の例では、乗車回数をセッション数とみなします。
集計期間は9月1日~9月3日。セグメントはユーザーで、条件はシーケンス「東京⇒品川」でセグメントを掛けると、ユーザーセグメントが対象とするのは上記の(a)と(b)なので2セッションとなります。実際は、「東京⇒品川」は1セッションなので、違和感を感じないでしょうか?「ユーザー セグメント」とは、一度該当する行動を取ったAさんの、期間内の行動を全て取り出すものになるので、このような結果になるのです。

ここまでを整理すると以下のまとめになります。

Point
セグメント「ユーザー セグメント」は、指定したシーケンスの条件に該当しないセッションがあった場合、それも含めて対象範囲となる。

セグメント「ユーザー セグメント」

【やりたいこと】 探索レポートで「特定期間のうちに、Aのコンテンツ群を見て申込フォームに遷移した値」を確認したいと考えております。

コミュニティの書き込みより引用

【詳細背景】 この場合、
GA4の探索レポート>セグメント>シーケンス >手順のスコープ指定を「全セッション」に指定
>ステップ1に「ページパスとスクリーンクラス」でAコンテンツ群を指定
>ステップ2に「ページパスとスクリーンクラス」で申込フォームを指定
>探索レポートの期間を「9/1~9/30」に指定したとします。

上記のように指定して、添付画像のようなユーザーの動きがあった場合、 ユーザー数2,セッション数3,表示回数6になるのでしょうか?

コミュニティの書き込みより引用
GA4コミュニティに質問者の方が添付してくださった画像を転載させていただきました。

上記にお書きになっておられる中で、

上記のように指定して、添付画像のようなユーザーの動きがあった場合、 ユーザー数2,セッション数3,表示回数6になるのでしょうか?

コミュニティより


に注目しますと、「セグメント」をどう設定するかによって、これは幾つかのバリエーションを考えなくてはなりません。

「次の間接的ステップ」「次の直接的ステップ」

下記のキャプチャー画像にあるように、シーケンスのセグメントを作成する際に、「次の間接的ステップ」「次の直接的ステップ」のどちらを選択するかで、集計結果は変わります。

[次の間接的ステップ] の場合、前のステップとの間に別のアクションが挟まっていても、プロセスを辿ったものと判定されます。

[次の直接的ステップ] の場合、前のステップの直後に所定のアクションを完了しなければ、プロセスを辿ったものと判定されません。

https://support.google.com/analytics/answer/9327974?hl=ja
(再掲載)

[次の間接的ステップ] が採用された場合、ユーザー「左端:オレンジ」「中央:ブルー」「右端:レッド」は、いずれもセグメントの条件にマッチします。「前のステップとの間に別のアクションが挟まっていても、プロセスを辿ったものと判定されます。」となるからです。

一方、[次の直接的ステップ] が採用された場合、前のステップの直後に所定のアクションを完了しなければ、プロセスを辿ったものと判定されませんので、「右:レッド」だけがセグメントの条件にマッチします。

「次の間接的ステップ」「次の直接的ステップ」のどちらを採用するかは、上記の仕様を踏まえて、解析を行う人が決めておかなくてはなりません。

「全セッション」「同じセッション内」

条件のスコープ

条件のスコープでは、条件が適用される範囲を決定します。

ユーザー セグメントとセッション セグメントの場合は、以下を選択できます。

同じイベント内: 同一イベント内ですべての条件を満たす必要があります。(筆者注:シーケンスの場合は、この選択肢はありません)

同じセッション内: 同一セッション内ですべての条件を満たす必要があります。

全セッション: ユーザーのライフタイム内ですべての条件を満たす必要があります。詳しくは、セッションの計算方法をご覧ください。

イベント セグメントでは、すべての条件が同一イベント内で発生する必要があります。

https://support.google.com/analytics/answer/9304353?hl=ja#zippy=%2C%E3%81%93%E3%81%AE%E8%A8%98%E4%BA%8B%E3%81%AE%E5%86%85%E5%AE%B9
(再掲載)

[次の間接的ステップ] が選ばれている場合:
「同じセッション内」なら、セグメントの条件に合致するのは、「左端:オレンジ」ユーザーのみとなります。
全セッションなら、セグメントの条件に合致するのは、ユーザー「左端:オレンジ」「中央:ブルー」「右端:レッド」は全て一致します。

[次の直接的ステップ] が選ばれている場合:
「同じセッション内」なら、セグメントの条件に合致するのは、「左端:オレンジ」ユーザーは「Aのコンテンツ群に入らないページB」を通っているので該当しません。すなわち、該当するユーザーはゼロとなります。
全セッションなら、セグメントの条件に合致するのは、「右端:レッド」ユーザーのみとなります。「中央:ブルー」ユーザーは「Aのコンテンツ群に入らないページB」を通っているので該当しません

ここまでのまとめ

間接的or直接的 × 同じセッションor全セッション をまとめると、下記の様になります。

左端:オレンジ中央:ブルー右:レッド
次の間接的ステップ同じセッション内××
同上全セッション
次の直接的ステップ同じセッション内×××
同上全セッション××

ここで、頂いたご質問に戻ります。

上記のように指定して、添付画像のようなユーザーの動きがあった場合、 ユーザー数2,セッション数3,表示回数6になるのでしょうか?

コミュニティより
  • ユーザー数は、セグメントの設定によって、変わってしまうことがお分かりいただけると思います。
  • セッション数は前半のPointで書かせて頂いたように、「セグメント『ユーザー セグメント』は、指定したシーケンスの条件に該当しないセッションがあった場合、それも含めて対象範囲となる。」となりますので、シーケンスのページ遷移の条件のみにマッチするセッション数をカウントしたいとすると、それは難しいということになってしまいます。
  • シーケンスのページ遷移の条件のみに「マッチするセッションに含まれるページの表示回数」が「計測したい表示回数」であるなら、上記の「セッション」で述べたように、シーケンスのページ遷移の条件のみにマッチするセッションだけを計測しているわけではないので、希望する値が得られない可能性があります。

ここまでのまとめ

ユーザー数

セグメントのシーケンスの仕様を踏まえて設定することで、ユーザー数の計測ができることはお分かりいただけたと思います。

セッション数(2022年9月22日修正)

2022年9月22日現在、「シーケンスのセグメントは『ユーザーセグメント』でしか作ることができない」という仕様により、どうしても、目的のセッション数が計測しにくくなってしまいます。

そこで、セッション数に関しては、探索の「目標到達プロセスデータ探索」を使用してみるというのはいかがでしょうか。「目標到達プロセスデータ探索」の利用方法につきましては、弊社のこちらの記事のに解説がございます。。。と書かせて頂いたのですが、

目標到達プロセスデータ探索ではアクティブユーザー数しか指標に使用できない

コミュニティより

とのご指摘を、コミュニティの質問者の方から頂きました。
ご指摘の通りです。申し訳ございません。結局、ご質問頂いた、ご希望のセッション数を出す方法につきましては、今のところ有効な方法を思いつけないでおります。
(SQLをお使いに慣れる方がいらっしゃれば、BigQueryにエクスポートしたデータをSQLで集計という方法もあるかと思います。)
何か方法をご存じの方がおられましたら、是非ともコミュニティにコメントをお願いいたします。

表示回数

上記でも書かせて頂きました通り、シーケンスのページ遷移の条件のみに「マッチするセッションに含まれるページの表示回数」が「計測したい表示回数」であるなら、これは「シーケンスのセグメントは『ユーザーセグメント』でしか作ることができない」という仕様により、どうしても、目的のセッションの際に発生する「表示」だけを計測するのが難しい状況です。

【質問2】 上記状態で「どこの参照元/メディア経由の訪問が、フォームへの遷移が多いか」を確認したいとします。 すると掛け合わせるディメンションは「セッションの参照元/メディア」が良いのでしょうか…? (編集済)

こちらは、「セッションの参照元/メディア」を使用するのが適切と言えます。

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